Aki Machida
私は17歳の時にカナダのUBCに1ヶ月ほど大学生と一緒に夏を過ごしましたが、カナダ国歌を覚えたくらいの記憶しかありません。帰国前に国立公園巡りをしたのが一番楽しかったです。発音だけはオレゴンに国費留学したこともある父親に中学時代特訓されたので、少し良かった程度です。それがきっかけで、就職時は計測工学つながりで横河ヒューレット・パッカードへの推薦をもらいました。本音の話、HP社は電卓の会社だと思っていました。
YHPの最初の仕事は社内用半導体を外販する部隊のテクサポです。ここで徹底的にUSから来たカタログを翻訳して英語慣れしました。何しろ入社した頃はTOEIC600ぐらいで、英語ができないと前に進めないのは見え見えでしたから、SONYのLLなどに通って英語を猛特訓しました。
営業になってからも、毎晩FENをタイマーで毎時間ごとのニュースをカセットテープに10分づつ録音し、営業車の中で大音響で再生し、大声で反復していました。とにかく喋るスピードとイントネーション重視で、信号で止まるごとに辞書を引き引きしてました。隣の車の人は、きっと私がカラオケでもやってると思ったでしょうね。今で言うシャドウイングです。聞くだけの英語をやっている人がいますが、反復して自分の発音が合っているか確認しながらでないと、効果ありませんよ。ちなみにカセットテープレコーダはナカミチのピッチコントロール付きを買いまして、早いピッチで録音し、営業車の中では通常再生して、少しだけゆっくり聞いてました。
ビジネスの社会では金額や数字が重要です。日本や中国は4桁区切りですが、欧米は3桁区切りなので、ナンバープレートの4桁を色々な読み方で読んだり、最初の2桁から後ろの2桁を英語で引き算したりしていました。
その甲斐あって、入社2年目で、TOEIC700くらいを証明して、US本社でのネオファイト(新人教育)に行かせてもらいました。
当時の国際線は喫煙可で、前の席の人がアームレストを上げる度に灰沢の蓋が開いて、吸い殻が飛んでくるひどい状況でした。ロス経由にさせてもらったのですが、空港の荷物受け取り場ではJAPと呼ばれ、驚愕しました。HERTZのレンタカー場に着くまで巨大なバスに乗って夕暮れの中、空港からドンドン離れ、ドライバーのアナウンスは何言っているかわからないので、たまらない不安を抱きました。カウンターではクレジットカードがなかったので、車を貸せないということになり、一生懸命USに来た目的を説明したり、トラベラーズチェックを見せてもラチがあきませんでした。マネージャにHPの従業員であることを半べそで話したら、やっとOKになったのです。
借りたFORDの鍵は運転席側が壊れているし、夕食はサンタモニカの(まだ日本には進出していなかった)バーガーキングでWhopperを何と発音して良いか分からず、フーッパーとか言って、黒人の店員に笑われました。
サンフランシスコでは5スピードのニッサン180SX(シルビア)を借りられてほっとしました。101号線でスピードを注意・停止させられ、ポリスに国際免許を見せましたが、日本の免許を見せろと言われたものの、有効期限が元号なので、説明で冷や汗をかきました。
モーテルに付くとルームメイトが先にチェックインしてました。靴はサイズ12(30cm)で身長190cm、体重120Kgくらいのアメフトをやっていた選手で、ボールモーから来たという営業マンでした。地図を見せたら、ボルチモアということがわかり、この先4週間の不安がこみ上げて来ました。
次の日、パロアルトの事業本部でネオファイト(新人教育)の10人の参加メンバーが集合し、いきなり理解不能のジョーク付きフルスピード講義が始まりました。自己紹介がはじまり、スコットランドから来ていた人の英語(?)が全く分からず、咳をしているのかと勘違いするほどで、完全に自信喪失。「英語ができない、即ち低能」という対応をされましたので、グループディスカッションでは泣きそうになりました。
UCLAを出たという香港出身のマーケティングマネージャの講義もハオハオしていて、何言っているか分からず、こっそりルームメイトに聞いたら、彼も分からないということだったので、なんだそういうことかと納得しました。とにかくスライドを読んでノートを取りました。この中国人は後日、私のメンターになってくれています。
週末にはモントレーや、ナパに連れて行ってもらいました。バターカップというマツバボタンより数倍大きな多肉植物の花が満開でした。私が「サボテンの花はきれいだ」と言ったら通じません。「サボッテン」とか「サボテイン」とか言い回しをトライしましてみましたが、ダメでした。それもそのはず。こうした草花はアイスプラントと言います。木にもなるような大きなサボテンはCuctus です。
外来語が現地の発音として使われる万次郎英語か、ローマ字読みの極みかには、相当苦労させられました。前者はワイシャツや、ミシンですね。"White-shirts"と"Machine"が語源です。後者で最近腰を抜かしそうになったのは、ヒエラルキーとグルメです。”Hialarchy" と"Gourmet"が語源であり、英語では「ハイアラーキー」や「ゴーメ」と発音します。個人的にはローマ字で使われる「あいうえお」の”A-I-U-E-O"は殆どの場合、英語ではアルファベットの発音で読まれます。娘がおにぎり屋さんでShakeという文字を見て「シェイクがおにぎりだってぇ~」と驚いてましたが、何がどうしてそうなったかを理解するのにそれほど時間がかかりませんでした。
マクドナルド、コストコ、イケア、エルメス、サーティーワンなど伝わらないカタカナが多すぎます。
指折りの数字表現も、Vサインで2を表現したつもりが3個になったり、言葉ではなくとも習慣の違いは沢山あります。
日本に帰ったら、暫く日本語が出ませんでした。Immersionというのはそういうことなんですね。TOEICも800くらいになりました。英語ができるとHP本社からのビジターを任せてもらえるので、営業テリトリーに関係なく、日本国中を出張して回りました。営業成績も自讃ですが、超優秀で、YHP社長賞を争うほどになり、入社5年目でHP本社のシニアセールスセミナーに招かれ、ティファニーのガラスの盾をもらいました。彫刻されていた名前がAKIHURO MACHIDAと間違っていてがっかりしましたが、そのまま日本に置いてあります。
30歳でマーケティングを始めた頃はTOEIC880になったのを覚えています。850を超えていないと出向させないという暗黙の基準があったのです。リニアエンコーダのプロジェクトで1年の出向チャンスを貰いました。この話はZipper2成功物語に詳しく書いてあります。
https://gloinns.com/my-posta281547d
その頃から、HPはアジアに工場を移していましたから、シンガポールやマレーシアからエンジニアが多数長期出張でUSに来てました。福建なまりのBritishEnglishに独特のAsianイントネーションで、文章の最後に必ず「ラ」が付くので、暫く何を言っているかわかりませんでした。レストランで手を出すので、さっき挨拶したのに、と思って握手したら、メニューを見せてと言ったんだよ、と隣の白人に言われて大汗をかきました。
2年弱の出向を終えて日本に戻ったときはTOEIC920に上がってました。トーストマスターズクラブにも行きまして、HPで受けたプレゼンクラスのトレーニングが役に立ちました。仕事がとても忙しくなったので、すぐに行けなくなりましたが、大変良い経験でした。
ところで上述のMollyちゃんのTEDXはご覧になりましたか?お気づきですか?唇と頬の動き。アメリカ人のテレビアナウンサーでも2種類の話し方が観察できます。Mollyちゃんのように縦横前に唇が動く方と、腹話術(ventriloquism)のように唇が殆ど動かない話し方です。日本人は喉が細く肺活量が足りないので、後者を真似したらだめですよ。
Youtuberのタロサクさんの講義を聞いていると、Nativeらしい発音にこだわっているようですが、別に単語と単語が切れていても、ローマ字読みしないで無声子音も出来ていればちゃんと伝わります。宇宙飛行士の向井千秋さんの英語は腰を抜かすほどジャパングリッシュですが、自信を持った発言は通じちゃうんですね。インド人の発音もそうです。彼らはアルファベットをすべてフォニック発音しますからFebruaryが「フェブルゥアリィ」、Wednesdayが「ウェdネスデイ」、Dangerousに至っては「ダンジロス」です。
あと、最近(初めて)こてこての関西弁の(標準語を絶対話さない)友人と日本語と英語のちゃんぽんで外人と話していて、イントネーションが良いことに気付きました。実際関西弁のノリで英語を話すといい感じになりますね。やってみてください。
ちなみに、FUJIFILM時代に色々な方(メーカー、R&D、マーケティング、営業、VC、コンサル、他)のプレゼンテーションを聞く機会がありましたが、総じて、プレゼンスキルの改善の余地があります。残念ながら、日本語でも気になり始めると内容そっちのけになります。USでプレゼンのトレーニングを受けた方々からも同じ意見を頂きましたので、プレゼンクリニックを開設しました。こちらのBLOGを覗いてみてください。
脱線してしまいましたが、話を戻しましょう。ある時、部下がどうどうと、給料を上げて欲しいと言ってきたので、この部署では英語が大切なので、TOEICの点数が年収のベースになると思ったほうがいいよ、と言ってたしなめたことがあります。日本は給料が上がってないので、この比喩がいまだに当てはまってないでしょうか?
43歳で2度目の出向のチャンスをもらい、911事件で日本もリストラの影響で帰る場所がなくなり、以降シリコンバレーに居るわけです。
下の娘がUSで生まれて、小4になった頃、補習校のお友達がロスで英検を受けると聞いて、一緒に行って2級が楽々受かりました。小5で準一級を受けようということで、お父さんも頑張れということで、一緒に行って合格しました。ところが、本人は1級もやると言ったのですが、私は模擬試験を何回やっても50点を越えません。結局私は行かず、彼女は簡単だったということで中1で1級なのです。上の高校生の息子に笑われたので、じゃやってみろと言って模擬試験をさせたのですが、何回やっても100点でした。自分がこんなに英語ができないのかと痛感しました。
MercuryNewsを読むようにしましたが、悲しいことにヘッドラインに読めない単語がたくさん出てきます。辞書を引き引き写真を撮ってDropBoxに辞書を作りました。これ結構いけますよ。辞書の例文はピンときませんが、新聞記事だと理解が深まります。
コロナの前辺りから、VersantとDuolingoというサービスの人気が高まってきました。TOEICや英検と違って「話す」採点があります。WatsonやAIを使ってかなり高度な音声認識が出来るようになり、たくさんの企業や大学が利用を始めています。。幸いそれぞれ60点と120点という及第点が出たのでほっとしていますが、今でも辞書はよく引きます。映画もサブタイトル(キャプション、テロップ)が無いとかなりつらいです。
最近ではスマホのアプリでELSAなどの発音矯正もあります。翻訳では既におなじみのGoogle翻訳やGoogleLensに最近はDeepLが人気です。ChatGPTがチャットだけではなく音声対話式になる日も近いです。落合陽一さんのYouTubeによると、ChatGPTは確かに日本語の精度が良くないみたいですので、これからのプログラミング言語は英語なんだと、おっしゃってました。GoogleのBARDは日本語できませんでしたが、2023年5月から対応可能ということで、確かに飛躍的に向上しています。
まだ試してませんが、SPEAK Easy Labsも面白そうです。試したら、ここに体験を書き足します。
FUJIFILMで苦労したのは日本向けのレポートと、US本社並びに関連会社へのレポート作りです。大抵は日本向けに作ったレポートを英訳するのですが、多くが主語のない難解な言い回しの日本語文は簡単には英文になりません。GoogleTranslateでもDeepLでも、ChatGPTでも案外頓珍漢な英語文章が出てきます。ですので、一旦英訳し易い日本文を作成します。その上で、ニュアンスが合う英文を作らねばなりません。始めは私が担っていましたが、あまりにも時間を使うので、外部の方(プロの同時通訳)にお願いすることにしました。ご興味ありましたら、私が営業窓口になっておりますので、連絡ください。
講師は同時通訳者の Mickie Grace さんです。
https://www.linkedin.com/in/mickie-grace-b60413/
ちなみに大きなお子さんを連れて駐在生活が始まると、お子さんの(USなら)英語対応をしなくてはいけませんが、最近は学校の連絡や先生からの宿題もDeepLやGoogle翻訳を使ってくれるようです。
下記のリンクの例はニューヨークですが、私の居るシリコンバレーでも同じように進歩しているとのことでした。 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00138/050901279/?n_cid=nbpnxt_mled_itmh
文章を介してのコミュニケーションのハードルはどんどん下がるのですが、逆に会話の習熟度が下がってしまう気がするのは私だけでしょうか?日本語字幕の映画を見ているだけでは英語がちっとも上達しないですよね。オーマイガーなどの感嘆詞くらいは覚えますが、機関銃のような英語は聞いた内容を脳内記憶バッファに蓄えて、瞬時に英語脳で理解して、英語で対応する訓練が必要です。
その前段階としては、英語のプレゼン特訓がいいですね。どうしたらいいか、もっと聴きたい、という方は下記に予約を入れてください。
Calendlyで1時間予約を入れて下さい。30分無料です。
Zoomは出来ればそちらでセットアップしてください。録画もお勧めします。
自己紹介のEmailは事前にお願いします。
最初は履歴書だけでもLinkedInだけでも結構です。