Aki Machida
TerafabというElonMuskのAI半導体事業がローンチされた時の火星に住むんだという夢物語が、SpaceXの上場で現実味が出てきました。

この講演(https://x.com/i/broadcasts/1yKAPMzlvgWxb)は「Terafab(巨大半導体工場)」の発表でありながら、実際にはイーロン・マスクが描く文明のロードマップを語ったものです。
簡単に整理すると、以下の通りです。
Terafab:年間テラワット級AIチップを生産する超巨大半導体工場
Starship:年間 1,000万トンを宇宙へ輸送
宇宙太陽光発電:地上より低コスト・高効率な電力供給
宇宙AIデータセンター:地上を超えるAIコンピューティング基盤
月面マスドライバー:宇宙インフラをさらに1000倍へ拡張
AIとロボットによるポスト希少性社会:経済規模が飛躍的に拡大し、「欲しいものは何でも手に入る」
豊かな社会の実現
このプレゼン全体を通して見ると、Terafabは単なる半導体工場ではなく、「AI・宇宙・エネルギー・モビリティー」を統合した、人類文明を次の段階へ進めるための出発点として位置づけられていることが分かります。
さて、この様な壮大な計画に沿って、日本は何が出来るのでしょう?
日本企業には世界トップレベルの材料、製造装置、精密加工、品質管理があります。匠の域です。
しかし、それらを「世界を変えるプロジェクト」に結び付ける構想力が足りないのではないでしょうか?
日本企業が参加すべきなのは、半導体装置やAIチップを作る競争だけではありません。
「AI時代のインフラ」を誰と一緒に作るかです。言わば、フィジカル・リアリティーの実現です。
目の前の部品や装置、サービスを見るだけでなく、その部品がどんな未来を作るかまで考える力をつけましょう。そして銀河の向こうから俯瞰できるような、大きな視点を持って日々の活動のモチベーションとしたいですね。
Elon Musk「Terafab」プレゼン(日本語訳)21分から始まります。27分のプレゼンです。
(本稿はPLAUDで録音して文字起こしをしてChapGPTで訳し、多少の修正を加えました)
本日、私たちは非常に重要な発表を行います。
これは間違いなく、人類史上最大規模の半導体製造プロジェクトです。
これまでとはまったく次元の違うレベルへ進むことになります。
おそらく多くの人がまだ想像すらしていないスケールです。
今日は皆さんの「常識」を何桁も引き上げたいと思っています。
これは複数の企業が協力して進めるプロジェクトです。
(ボタンを押そうとして)
「あれ?ボタンが動かない(笑)」
(映像スタート)
私たちが目指しているのは、「銀河文明(Galactic Civilization)」です。
未来について考えるとき、多くの人が最もワクワクする未来とは何でしょうか。
それは人類が星々へ進出し、一つの惑星に閉じ込められることなく、
複数の惑星に住む文明になることではないでしょうか。
まるで最高のSF小説のような世界です。
『スター・トレック』
イアン・バンクス
アイザック・アシモフ
ロバート・ハインライン
そうした作品の世界を、フィクションではなく現実にしたい。
Science Fiction(空想科学)をScience Fact(科学的現実)へ変える。
それが私の見たい未来です。
文明をどう評価するかという考え方があります。
1960年代にロシアの物理学者ニコライ・カルダシェフは、文明をエネルギー利用量で分類しました。
TYPE-1文明
惑星全体のエネルギーをほぼ使いこなす文明ですが、実は人類はまだそこにも到達していません。
私たちは地球に届く莫大な太陽エネルギーのほんのわずかしか利用していません。
地球が受け取っている太陽エネルギーは、
太陽全体から見れば約5億分の1程度しかありません。
太陽は本当に巨大なのです。
太陽系の質量全体の99.8%は太陽そのものです。
「地球で核融合発電をすればいいのでは?」と聞かれることがありますが、
実際には地球は太陽系全体から見ると極めて小さい存在です。
木星ですら約0.1%。
地球は「その他」の分類に入るほどです。
カール・セーガンだったと思いますが、「地球とは広大な暗闇に浮かぶ小さな塵にすぎない」
と言いました。
本当にその通りです。
文明を大きく発展させるには、宇宙空間で利用できる電力を増やすしかありません。
これは必然です。
地球上では太陽エネルギーをほんの少ししか受け取れないからです。
別の言い方をすると、現在、人類文明全体の発電量は太陽エネルギー全体の約1兆分の1程度しかありません。
つまり、もし文明全体のエネルギー利用を100万倍にしても、それでも太陽エネルギーの1兆分の1しか使っていないことになります。
考えるだけで圧倒されます。
私たちは日々、地球上の些細な争いばかり気にしています。
しかし宇宙全体から見れば、そうしたことは本当に小さな出来事です。
だから私は、宇宙の壮大さを考え、これまでより遥かに大きなことへ挑戦するべきだと思います。
地球上の小競り合いに時間を使うよりも、もっと偉大な未来を作るべきです。
私たちは銀河へ広がる文明になりたい。
誰もが宇宙船で好きな場所へ自由に行ける世界。
それは本当に壮大な未来です。
月には都市を。
火星には都市を。
太陽系全体へ進出し、
さらに他の恒星系へ宇宙船を送り出す。
私はそれこそ最高の未来だと思っています。
そのためには、まず太陽エネルギーを最大限活用しなければなりません。
現在私たちが目指している「テラワット級AIコンピューティング」は、人類にとっては非常に巨大な目標です。
しかし、カルダシェフ文明スケールで見ると、まだほんの第一歩に過ぎません。
TYPE-2文明にはまだ遠く及びませんし、TYPE-3文明にはまったく届いていません。
人類にとっては巨大な挑戦ですが、宇宙全体から見ればまだ小さなものです。
だからこそ、この困難な目標を達成するには、
SpaceX
xAI
Tesla
この3社が力を合わせる必要があります。
壮大なプロジェクトを実現するためです。
(この辺りで残り20分)
Teslaも、xAIも、SpaceXも、かつて「不可能」と言われたことを実現してきました。
ここギガ・テキサス工場ではOptimusロボットを製造しています。
世界中にはスーパーチャージャーネットワークがあります。
Teslaが創業した当時、「EVなんて成功するはずがない」と言われていました。
しかし現在では年間約200万台のEVを生産しています。
さらにxAIは、SpaceXグループとなり、設立からわずかな期間で世界初のギガワット級AIコンピュータークラスターを、史上最速で構築しました。
NVIDIAのジェンスン・フアンも、「人生でこれほど速いプロジェクトは見たことがない」と言ってくれました。これは非常にありがたい言葉でした。
SpaceXについては、皆さんご存じの通りです。
再利用ロケットについても、かつては多くの人が「不可能だ」と言いました。
仮に技術的にできたとしても、経済的には成り立たないと言われていました。
しかし私たちはそれを実現し、さらに経済的にも成立させました。
今では500回以上、ロケットの着陸に成功しています。
そしてFalcon Heavyを実現し、現在はStarshipに取り組んでいます。
Starshipは、この構想において極めて重要なピースです。
(この辺りで残し18分)
なぜなら、AIコンピューティングと電力を大規模に拡張するには、宇宙へ行く必要があるからです。
そして宇宙へ大量の荷物を運ぶには、巨大な打ち上げ能力が必要です。
それを可能にするのがStarshipです。
こちらを見るとスケール感が分かると思います。
横にOptimusを置いています。(笑)
Optimusは身長約5フィート11インチ、つまり約180cmです。
これと比べると、Starship V3ロケットの大きさが分かります。
Starship V4はさらに長くなります。
V4を見ると、V3が少し短く見えるほどになるでしょう。
Starship V3では、軌道投入能力を100トンから200トンへ拡大します。
次に、AI衛星の小型版のイメージです。
これはおおよそ100キロワット級です。
太陽光パネルと放熱用ラジエーターも、実際のスケールに近い形で示しています。
なぜか最近、宇宙空間でのラジエーターについて(放熱できないという)奇妙な議論があります。
しかしSpaceXは、すでに1万基の衛星を軌道上で運用しています。
宇宙空間で熱を逃がす方法については、1万台のStarLinkでもう知見があるのです。
図を見ると、ラジエーターは太陽光パネルに比べればかなり小さいことが分かります。
これは「ミニサット」と呼んでいます。100キロワット級だからです。
将来的には、衛星1基あたりメガワット級まで進むと考えています。
年間1テラワット級のコンピューティング能力に到達するには、年間約1,000万トンを軌道へ打ち上げる必要があります。
前提としては、1トンあたり100キロワット程度です。これは実現可能だと確信しています。
新しい物理法則や不可能な技術は必要ありません。
SpaceXは年間1,000万トンを軌道へ運ぶ能力に到達できると考えています。
そして私たちは、1テラワット級の太陽光発電能力を構築していきます。
これで電力の問題、つまり太陽光発電の問題は解決できます。
残る重要な課題は、1テラワット級のコンピューティング能力です。
今回の発表は、その最も重要な不足部分を解決するためのものです。
現状を説明すると、現在のAIコンピューティング向け半導体の世界全体の生産能力は、おおよそ年間20ギガワット程度です。
(残り15分)
このチャートを見ると、なぜTerafabを作る必要があるのかが分かります。
地球上の既存の半導体工場をすべて合わせても、私たちが必要とする量の約2%にしかなりません。
つまり、世界中のファブを全部合わせても、テラワット級プロジェクトに必要な量にはまったく足りないのです。
もちろん、既存のサプライチェーンには深く感謝しています。
Samsung、TSMC、Micron、その他の企業には大変感謝しています。
彼らにはできる限り速く生産能力を拡大してほしいと思っています。
そして私たちは、彼らが作るチップをすべて買うつもりです。(どよめき)
私は実際に彼らにそう伝えています。
ただし、彼らが安心して拡張できる速度には限界があります。
その速度は、私たちが必要としている速度よりもはるかに遅い。
だから選択肢は二つです。
Terafabを自分たちで作るか、あるいは必要なチップを手に入れられないか。
私たちにはチップが必要です。だからTerafabを作ります。
まず、ここオースティンで先端技術ファブを立ち上げます。
アボット知事、そしてテキサス州の支援に感謝します。
この先端技術ファブには、あらゆる種類のチップを作るために必要な装置をすべて備えます。
ロジックも、メモリも作れるようにします。
さらに、リソグラフィ用のマスクを作るための装置もすべて備えます。
つまり一つの建物の中で、リソグラフィマスクを作り、チップを作り、チップをテストし、また新しいマスクを作り、チップ設計を高速に改善する。
この反復サイクルを、極めて高速に回せるようにします。
私の知る限り、これは世界のどこにも存在しません。
一つの場所に、ロジック、メモリ、パッケージング、テスト、マスク製造、設計改善、そのすべてが揃う。
そしてマスクを改善し、また次のチップを作る。このループをひたすら回すことができる。
私たちはここで、単に従来型のコンピューティングを作るだけではありません。
非常に興味深い新しい物理原理もあります。それは実現可能だと私は確信しています。
問題は「いつ実現するか」だけです。
私たちは、物理とコンピューティングの限界を本当に押し広げようとしています。
かなり大胆で、クレイジーなこともいろいろ試します。
それが可能になるのは、高速な反復ループがあるからです。
チップを作り、テストし、設計を変え、また作る。
(残り12分)
それを一つの建物の中でできることの重要性は、どれだけ強調してもしすぎることはありません。
この環境があれば、私たちの改善速度は、世界のどの取り組みよりも一桁速くなる可能性があります。
(拍手)
(残り11分30秒)

我々が開発する予定の半導体は、大きく分けると、2種類です。
一つ目は、エッジAI(Edge AI)と推論(Inference)に最適化されたチップです。
これは主にTesla車両やOptimusロボットで使われます。
特にOptimus向けが重要になります。
というのも、私は将来的にヒューマノイドロボットの生産台数は、自動車の10倍から100倍になると考えているからです。
現在、世界では年間約1億台の自動車が生産されています。
一方でヒューマノイドロボットは、年間10億台から100億台規模になると予想しています。
つまり、とてつもない市場になります。
そしてTeslaは、その非常に大きな割合を生産する企業になりたいと考えています。
もう一種類は、宇宙用に設計された高性能チップです。
宇宙は地上とはまったく異なる環境です。
高エネルギーのイオン、高エネルギー光子、電子の帯電など、非常に過酷な環境になります。
だからチップそのものを宇宙専用として設計する必要があります。
さらに通常の地上用チップよりも少し高温で動作させる設計にしたいと考えています。
その理由は、放熱器(ラジエーター)の重量を減らせるからです。
つまり宇宙では、設計条件そのものが地上とは大きく異なるのです。
宇宙で使われるAIコンピューティングは、最終的には地上よりも圧倒的に大きくなるでしょう。
私の予想では、地上では年間100〜200ギガワット程度のAIチップになるでしょう。
一方、宇宙では年間約 1テラワット規模になると思っています。
理由は単純です。
地上では電力供給が制約になります。
しかし宇宙にはその制約がありません。
宇宙では「いつでも晴れ」です。
これは非常に大きな利点です。
私は、宇宙でAIを運用するコストは、多くの人が思うよりも早く、地上より安くなると考えています。
(残り9分)
おそらく2〜3年以内でしょう。
AIチップを宇宙へ送る方が、
地上で巨大データセンターを建設するよりも安くなる可能性があります。
宇宙では、バッテリーはほとんど必要ありません。
常に太陽光が得られるからです。
しかも、地上より少なくとも5倍以上の太陽光エネルギーが得られます。
理由は、大気による減衰がない。
昼夜がない。季節変動もない。
さらに、太陽に対して常に最適な角度を維持できます。
つまり、太陽光発電の効率を最大限まで引き上げられるのです。
さらに興味深いことがあります。
宇宙の太陽電池は、実は地上用より安く作れるのです。
地上では、強風や雹(ひょう)、暴風雨などから守るため、
重いガラスや頑丈なフレームが必要です。
しかし宇宙では、そうした保護構造は不要です。
だから構造は非常に軽くできます。
つまり、打ち上げコストさえ十分下がれば、AIを宇宙へ配置することは圧倒的に合理的になります。
(残り8分)
その瞬間、宇宙AIは「やるべきかどうか」の議論ではなくなります。
**当然そうするべき(No-brainer)**という話になるでしょう。
さらに重要なのは、宇宙では規模が大きくなるほど、ますます効率が良くなることです。
つまり、宇宙ではスケールメリットが働き続けます。
一方、地上では逆です。
より多くの発電設備を建設しようとすると、土地が足りなくなります。
まず条件の良い土地から使われ、その後は建設しにくい場所ばかりになります。
そして、「自分の家の近くには建てないでほしい」という、いわゆる NIMBY(Not In My Backyard)問題も大きくなります。
その結果、地上では発電設備を増やすほど、コストは上がり、建設は難しくなります。
しかし宇宙では逆です。
規模が大きくなるほど、コストは下がり、建設は容易になります。
私は、これは非常に重要なポイントだと思っています。
(ここで会場の映像・アニメーションが流れ、約 1分半ほどプレゼンが中断されます。)
(月面に設置された電磁加速装置で、物体を月の脱出速度まで加速できる設備です)
今ご覧いただいた映像を見て、皆さんはきっとこう思ったでしょう。
「その次はどうするのか?」
つまり、テラワットの次は何か?ということです。
もっと大きく考えましょう。
次の目標は**ペタワット(1,000テラワット)**です。
どうやって実現するのか。
答えは、月面に電磁式マスドライバー(Electromagnetic Mass Driver)を建設することです。
そこではOptimusロボットが働き、もちろん多くの人間も活動します。
月には大気がありません。
そして重力は地球の約6分の1です。
つまり、月ではロケットを使う必要がありません。
電磁加速装置だけで、物体を脱出速度まで加速できるのです。
そうなれば、宇宙へ大量の設備を運ぶコストは劇的に下がります。
そして、テラワットよりさらに1,000倍大きな規模まで拡張できます。
私が生きている間にぜひ見たいものがあります。
それは、月面マスドライバーです。
本当に壮大な光景になるでしょう。
(残り3分30秒)
そこまで到達すれば、少なくとも人類は太陽エネルギーの100万分の1程度は利用できるようになるでしょう。
それでも、宇宙全体から見ればまだ非常に小さな数字です。
しかし、現在の地球経済と比べれば、太陽のエネルギーは100万倍以上あります。
その意味では、とても希望が持てます。
その先には、さらに惑星へ。
さらに恒星へ。
そして、私が想像できる中で、最もワクワクする未来が広がっています。
(映像を見ながら笑って)

この映像、ちょっと『Idiocracy(26世紀青年)』の冒頭シーンみたいですね。
私たちは、圧倒的な豊かさ(Amazing Abundance)の時代を切り開こうとしています。
その基盤となるものは、持続可能エネルギー、宇宙開発、AI、ロボティクス、なのです。
そして、本当の意味で豊かな社会を実現する唯一の道は、AIとロボットです。
もちろん、失敗する可能性がゼロとは言いません。
しかし私は、おそらく成功すると思っています。
そして、その未来は、皆さんが本当に好きになれる未来になるでしょう。
少なくとも、私が想像できる中では最高の未来です。
(残り2分)
その先には、月を越え、火星を越え、土星の環を航行するようになります。
考えてみてください。
もし土星旅行を買えるようになったら、どれほど素晴らしいでしょう。
正直に言えば、未来では、多くのものが無料になると思っています。
一見すると信じられない話ですが、AIとロボットによる経済規模が、現在の地球経済の100万倍近くになれば、人間が必要とするものは、ほぼすべて供給できるようになります。
つまり、欲しいと思ったものは、何でも手に入る世界です。
私は、イアン・M・バンクスの小説『Culture(カルチャー)シリーズ』が描いた未来は、かなり正しいと思っています。
そこでは、お金という概念そのものが存在しません。
理由は簡単です。
誰もが十分すぎるほど豊かだからです。
考えつくものは、すべて手に入ります。
それが未来です。
だから、土星旅行も、一部の特別な人だけのものではありません。
望むなら、誰でも行ける。
そんな未来です。
(残り 1分)
ぜひ、この旅に参加してください。
素晴らしい半導体を一緒に設計しましょう。
1テラワット分のAIチップを作りましょう。
1テラワット分の太陽光発電設備を作りましょう。
そして、年間1,000万トンを宇宙へ運ぶ時代を実現しましょう。
ありがとうございました。(拍手)
(最後30秒間音楽)
Written by Aki Machida 町田 晶弘
25 years in Silicon Valley
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(while traveling to Japan +81-80-5407-2560)
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